「双葉さんホチキスこっちに止めて…」



「双葉さんコーヒーに砂糖入れすぎ!」



「双葉さん、コピー真っ白の方を下にしちゃだめでしょ…?」



初出勤から何日か過ぎ、同僚のみんなはコツコツと仕事を覚えて、キビキビと働いていた。



それに比べてあたしは、



「双葉さん、これ5回目だよ…」



要領も悪ければ物覚えも悪い。



言われたことを実行に移してるはずなのに、どこかズレてしまう。



「桜瀬さんも大変だな…あんなに使えない新人初めてだよ…」



コソコソと男の人が言っているのが聞こえた。



グサリグサリと、胸に矢が刺さる。



「ごめんなさい桜瀬さんあたし…」