社内恋愛発令中【完】

遥さんのはずがない。



まず、もし遥さんだったとして、あたしを恨む理由がない。



「あ、いけない!薬忘れてきちゃった」



袋をあさりながら、遥さんが苦い顔をする。



「ごめん詩苑ちゃん!あたしこれから予定あるからもう帰らなきゃ!」



時刻は22時になろうとしていた。



(こんな時間に予定…?)



心の中で疑問を膨らませるあたしを横目に、遥さんは手を振って足早に出て行く。



「詩苑ちゃんお大事に!」



____パタンッ



扉が閉まったあとも、グルグルと考える。



仮にも病人に会いにきた人が、こんなにもあっさりと帰るだろうか。