もう一度全神経を集中させると、確かに背後で気配がする。



あたしのヒールの音に遅れて靴の音。



「…っ」



大声を出して逃げたい。



だけどそんなことしてしまったら、もしかしたら命が危ないかもしれない。



あたしは早歩きで家までを冷静に歩く。



自分の住むアパートが見えて、ほっとしながら中へ。



アパート内へ入ってから、やっと振り返ったが、そこにはもう人影はなかった。



バクバクと脈打つ心臓を何とか抑えて、深呼吸。



(よかった…)



こうして嫌な1日は終わりを迎えた。