秘書として働くようになってから、失敗を繰り返しながらも2ヶ月が過ぎた。



今では電話やお客様を、急用である方とそうでない方で見極めることもできる。



だけど、まだまだ秘書としてのスキルには程遠く、蒼井さんの足を引っ張ってばかりだ。



「今日も雨ですよ部長」



6月に入った最近は、毎日のように雨が降り、仕事に差し支えはないものの気分がどんよりとしてしまう。



蒼井さんも少し機嫌が悪いようだ。



「本当に勘弁してほしいな…湿気」



自分の髪の毛が思い通りにならないのか、ピョン、と跳ねた髪をいじってはムスっとしている。



「いつもと変わってませんけど…」



「へぇ…」



ボソっと呟いた声に、蒼井さんは睨むようにあたしを見た。



どうやら何かのボタンを押してしまったようだ。