社内恋愛発令中【完】

「あ、あの部長…」



桜瀬さんが出て行ったあと、絞り出すように呟いたあたしの声に、蒼井さんが首をかしげる。



「さ、桜瀬さんに…した方が、いいのでは…」



物覚えも悪い、効率も悪い、使えないあたしを秘書として働かせるより。



美人で、仕事もできて、何でもこなせる桜瀬さんのほうが役に立つ。



だけど蒼井さんは、



「桜瀬は秘書に向いてない」



そう言い切った。



「ど、どうして…」



訝しむあたしに、蒼井さんはフッと笑う。



「俺に好意を持ってるから」



その言葉にあたしは、うわぁ、と目を細めて蒼井さんを見た。