Side 雪名 匠



「やっぱりいい子じゃん、花ちゃんって」



山崎は岡田が見えなくなるまで、ずっと背中を笑顔で見つめていた。



弓道部に本当に入りたくて、その一心だったんだね!



きっと弓道もうまくなりそうな気がする。



俺たちが卒業するまでにどこまで成長するかな~!



いなくなってからもずっと岡田のことばっかり。



「はぁー」



と山崎に聞こえるようにため息をした。



「なんでため息すんだよ?」



「……知らないからな。こんな特別なことして。他のヤツに言われたって」



「それはお前の方だろ?これから花ちゃんの教育係は雪名なんだから」



俺はキっと山崎を睨みつけた。



「……弓具を与えた。もう十分だろ」



「それも教育係だから当たり前!」



ここぞとばかりに調子に乗ってきた山崎。



あーもういい。勝手にしろ。



俺は絶対にそんなめんどくさいことやらないからな。



「気に入ってんだったら、お前がみればいいだろ」



そう言い捨てると、俺も弓道場を出た。