クリスマスの夜、喉が渇いて目が覚めた。
違う。水は飲みたいけれど本当の原因はそれでは無い。
・・・誰かの気配がしたからだ。
此処は私の部屋だ。
使用人であれば当然だが家族はドアをノックしてまで入室の許可を取る必要は無い。
なら、家族の誰かだろう。
こんな時間に一体何の用なのか。
目を開け、起き上がる。
「そこに居るのは舞鈴か?それとも母様?」
「・・・。」
おかしい。呼び掛けたら返事をする筈。
しかし、応答しないどころか身動きすらしない。
次第に暗闇に目が慣れる。
はっきりとは分からないがその人物は自分の方を向いているようだった。
もう一度声を掛けようとした時、違和感を覚えた。
・・・人は他人の部屋に入る前にまず何をする?
私ならノックで知らせる。
これは誰にでも当てはまる事だろう。
家族や親戚ならする必要は無い。
だが、それでもおかしいのだ。


・・・・・・ドアの音がしない事が。