アクアリウムで魅せて

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「おはよ、香織。身体痛くない?」




先に起きていた彼が、爽やかな笑みを浮かべながらベッドサイドに座る。私はぎこちなく体を起こし、壁掛けになっている部屋の時計を確認する。




---只今の時刻、11時半?!






「あ、ごめっ……私、寝すぎた」


「それはいいんだけど。
……久しぶりに香織の寝顔も見れたし」


私の頬を撫でる彼の手が優しい。
掌から伝わってくる、彼の素直な気持ちに顔が熱くなる。




……何なんだろう。
どことなく……、いや確実に空気が甘ったるい。



「……あれ?香織さん、もしかして……照れてる??」



すっかりからかいモードの彼。
私は枕を投げつけてやった。




---付き合いたてのような、初々しい気持ち。



「あっ、昨日の食材でサンドウィッチ作ってみたんだけど……食べてみて」



彼の作ったサンドウィッチを頬張りながら、少し気だるい身体で大きく伸びをして。


ハイスペック彼氏!!グッジョブ!!




私は幸せを噛み締めていた。



ーーーーー




何気ない瞬間、この人とずっと一緒にいたらとか、そんな未来を……想像する気がする。



彼と新しく出来たばかりのアウトレットモールにきていた。






「香織これ好きそう」


「あ、可愛いー!!」


彼が指差したのは、揺れるハートのピアス。


「可愛いピアス見るとすぐ欲しくなっちゃうんだよね〜」


買っちゃおっかな〜

私が迷っていると、


「じゃあ俺からのプレゼント」


彼が私の手からひょいとソレを取り上げた。


「えっ、いいよ!!高いし」


「欲しいものはプレゼントしたいじゃんっ」


「でも……」


「俺もソレして欲しいからプレゼントしたいなって思ったの。……ってことで大人しく俺のためにつけて?」


ニコッと笑った彼は私の髪を優しくかき混ぜると、そのままレジの方へ行ってしまった。



……こう言うところが優しくて……憎い。





「ありがと……。大切にする」


「うん」


"絶対似合うと思うわ"


彼の柔らかい笑顔を見て、やっぱりこの笑顔が好きなんだと実感する。


何だか過去を引きずっている私の方が情けなくなってきた。


(もう過去を思い出して、うじうじするのはやめよう)

……そう心にに誓った。