「何、いってんの?あんたなんかにあげるわけないじゃん。あんたみたいな最低野郎に」

声のトーンやしゃべり方が変わったのに気づいたのか、聡は目を丸くしてた

「み、美野里?」

怯えた声であたしを呼ぶ聡

もう、そんなのに構ってる時間はない



「でも、あんたにはそれなりに世話になったからあたしから別のバレンタインチョコをあげるよ」


あたしはそういって、聡の顔面に拳を叩きつけた


地面に転がり込む聡を見下ろしながら


「これが、あたしからのあんたに向けてのバレンタインチョコ」


といった



最悪、なんであんな風にあたしの気持ちを踏みにじられなければならなかったのか


だけど、自然と涙は出てこなかった

出てきたのは自嘲気味な乾いた笑い


あたしは、聡から背を向けて歩き出した


そして、近くにあったゴミ箱に本命チョコをぶちこみながら


「あんたなかんかを好きになったあたしが馬鹿だった......」


そう、小声で呟いた


瞳からは、涙が一筋こぼれた


あたしはその涙に気付かない振りをした



こうして、あたしの人生初の初恋は最悪の形で幕を降ろした