お兄さんもスーツ姿で、渋い赤のネクタイを締めていた。車の中とは違い、表情は柔らかい。ちょっとだけほっとしたけど、肩の力は入りっぱなしだった。
「斎藤さん、えーと、お父さんから、さくら子ちゃんの様子を見てきてほしいって頼まれたんだ」
「そうですか、お手数お掛けしました」
「いや、何だか顔色が悪いね。体調悪くなっちゃったかな?」
「いや、あの」
「どうしよう、斎藤さんの娘さんが、医務室とかあるのかな?もしかして風邪!?いっぱい人居たからね、変なウイルスとかもらってきちゃったのかも、ああ・・・」
何だか私より慌てているお兄さんをみていると、何故か冷静になれた。ついでに肩の力も抜けた。
「あの、大丈夫です。ちょっと疲れちゃっただけですから」
「…そうかい?あ、疲れたならカフェテリアで何か食べよう。暖かいものを飲めば、ちょっとは落ち着くかもね」
にっこりと爽やかな笑顔を浮かべてお兄さんはホテルのカフェテリアを指差した。ちょうど夜のバーになったばかりのようだったが。
「そうですね、紅茶とかあればいいなあ」
「ここはケーキが美味しいんだよ。奢るから好きなものを頼んでいいよ」
「いやいや、悪いですから…」
「いや、是非奢らせてほしい!代わりと言ってはなんだけど…」
するとお兄さんはクラッチバッグを持っていない方の手を握った。目が爛々と輝いる。あら、嫌な予感。
「斎藤さんの、君のお父さんのこと、もっと教えてほしいんだ!」
「え、えぇ…」
あ、これ厄介な人なのかもしれない。
「斎藤さん、えーと、お父さんから、さくら子ちゃんの様子を見てきてほしいって頼まれたんだ」
「そうですか、お手数お掛けしました」
「いや、何だか顔色が悪いね。体調悪くなっちゃったかな?」
「いや、あの」
「どうしよう、斎藤さんの娘さんが、医務室とかあるのかな?もしかして風邪!?いっぱい人居たからね、変なウイルスとかもらってきちゃったのかも、ああ・・・」
何だか私より慌てているお兄さんをみていると、何故か冷静になれた。ついでに肩の力も抜けた。
「あの、大丈夫です。ちょっと疲れちゃっただけですから」
「…そうかい?あ、疲れたならカフェテリアで何か食べよう。暖かいものを飲めば、ちょっとは落ち着くかもね」
にっこりと爽やかな笑顔を浮かべてお兄さんはホテルのカフェテリアを指差した。ちょうど夜のバーになったばかりのようだったが。
「そうですね、紅茶とかあればいいなあ」
「ここはケーキが美味しいんだよ。奢るから好きなものを頼んでいいよ」
「いやいや、悪いですから…」
「いや、是非奢らせてほしい!代わりと言ってはなんだけど…」
するとお兄さんはクラッチバッグを持っていない方の手を握った。目が爛々と輝いる。あら、嫌な予感。
「斎藤さんの、君のお父さんのこと、もっと教えてほしいんだ!」
「え、えぇ…」
あ、これ厄介な人なのかもしれない。
