「んんー…」

あの抱きしめた後眠くなって寝てしまった。


あったはずのゆいの温もりがない


「むぅーゆいー…?かくれんぼとかする年じゃないでしょー…?」


なになになに?ゆいどこにいるの?


どこをみてもゆいはいなくて、不安になってきた


そのとき


ドンドンっドンドンっ


勢いよく玄関を叩く音


こんなときに誰だよ…


ドアを開けると


「よっ!!けい!」

鼻の頭をかく大貴だった


俺とゆいの共通の友達でめっちゃ優しいやつ


お人好しでゆいのことが好きだったらしい


俺のことを応援してくれて俺は無事ゆいふっついたわけだけど…


「ってか大貴なんで朝っぱらから来てんの?
ゆい知らない?朝からいなくてさ…アイツばかだからコンビニ行ったり…」

途中で話すのをやめた


大貴は泣きそうな顔をしていた

「なぁけい。前に進まなきゃ。ゆいも心配するよ?」


そんなこというから

「いや、今心配かけてんのゆいでしょ。アイツどこいったかなー…その内帰ってくるか…」

なんて冗談を言って笑うと

「けい!!!お前まじで何言ってんの?頭いかれたんじゃねーの!?昨日ゆいの葬式あげただろ?けい昨日泣いてなかったから心配してきたけど…現実見ろよ…」


大貴の言ってることがまるで分からない俺


そして次の大貴の一言でわれにかえる


「ゆいは死んだんだ!トラックに轢かれて死んだんだんだよ?けい…」


なーにいってんの。大貴。

いくら親友でと許さないよ?

ゆいが死んだんだ?は?


俺昨日ポテトサラダ食ったし、ゆい抱きしめた。


暖かったよ。ゆいの匂いを感じたよ。


大好き、愛してるって言ってくれた。


じゃあ、今ゆいはどこにいるの?


急いで冷蔵庫をみた。


ポテトサラダがあった。

ほらね。昨日いたんだよ。ほんとにいたんだ。

大貴は首を振った。


頭の中がぐちゃぐちゃな俺を優しく包み込んでくれた大貴。


「けい。俺と一緒に住まない?ゆいのこと忘れることは多分出来ないよ、俺もけいも。だからさ、少しずつ綺麗な思い出にしていこうよ」


あぁ、ゆい死んだっけ…


昨日のことは綺麗な夢かな。