死者のまち―デス・ドリームストリート

私は、そんな場所を歩いてきたのか…。
手離しそうになる意識を必死に保ち、私はなんとか声をだした。

「あの視線は、幽霊だったの…?」

「そうかもね。でも、大丈夫だよ。ゴーストたちは、基本的には村の外には出られないから」

「基本的には…?」

「うわさでは、気に入った女の子には憑いていくみたいだよ」

「そ、それなんの慰めにもなってないですっ⁉」

青ざめる私。

「ごめん、ごめん。じょーだんだよ」

そう言ってからかうように笑う、ケイさん。掴めない人だなぁ…

「…もうひとつ聞きたいんですけど、ケイさんはどうしてここに一人で住んでいるんですか?」

「ひみつ」

「え?」

「誰にでも知られたくないことのひとつやふたつあるだろう?」

笑っているけど、ケイさんの目はこれ以上詮索するなと言っていた。
私はそれ以上聞くのはやめて、話題を変えることにした。

「それにしても、ここって日本じゃないみたいですよね。まるで、ヨーロッパみたい」

「にほん?よーろっぱ?君は何を言っているんだい?」

本当に不思議そうにするケイさん。

「え?ここって日本じゃないんですか?」

「にほんというのは、地名かい?ここは、ライン=スウェーブという場所だけど」