「なんで誰もいないの…」
泣きそうになる気持ちをこらえながら、私は一人呟いた。
時計がないので正確な時間はわからないが、かれこれ1時間以上歩いている気がする。
とうとう村のはずれまで歩いてきてしまった。明らかに人が住んでいそうな家はたくさんあるのに、肝心の人はみつからない。

さらにおかしなことに、人の気配はかんじるのだ。さっきから、誰かにみられているような…

「はぁ…」
身もこころもすっかり疲れてしまった私は、その場に座りこんでしまった。
「公衆電話もないし…」
そう、一通り村の中はみたが公衆電話もコンビニも、交番も見当たらなかった。
まぁ、コンビニがあったとしてもお金がなくてはどうしようもないのだけれど。
途方にくれて見上げた先、村から少し離れた場所に一軒の小屋のようなものがみえた。
「………」
誰かがいるとは思えないけれど、藁にもすがる思いで行ってみることにした。