かすかですが先輩の目が泳いだんです。

知らないって言われるかなと思ったんですが、

「…うん。確かに俺は理由を知っている。
………でも、俺の独断で話すわけにはいかない。ごめんな。」

先輩は私に丁重にお詫びを言い、立ち去ろうとした。

でも、もう1度私を振り返って、

「あ、これ。一応持ってて。
………いつか必要になる。」

そう言って私に折りたたんだメモ帳を渡した。

そのメモ帳には綺麗な字で名前と電話番号が記されていた。

いつかって…いつなのでしょうか。