「僕の体温、普通の人より低いんですよね。
なぜか。」
「へぇ…。でもさ!」
どこかで聞いたことのあるような話をそいつにする。
「手の冷たい人って心があったかいってこと言うじゃん?」
「そうなんですか?」
初めて聞いたのかそいつはキョトンとした顔で
私の眼を見つめる。
それが恥ずかしくて
目をそらしてしまう。
視線は自分の手の方に行ってしまった。
それは眼を見つめられたからではなく
ひとつ決心をしたからでもある。
「だからさ!」
何秒か、時間があく。
「何?」
なだめるような声でそいつが聞く。
唾をゴクンと飲み込み
覚悟をする。

