―もっと、刺激的な恋を。―

すべてが狂い始めたのは

あの夏の日からだった。

「別れよう」

そう言われたんだ。

大好きな君に。

私は自惚れてたんだ。

君も私と一緒に居たいって思ってくれてるって。

自分の馬鹿さ加減に吐き気がしそうになった。

それから1年後。

今私の隣には大切な人がいる。

「ナナ！行くぞ〜」

「うん！」

名前を呼ばれて彼の元に走る。足どりが軽い。
羽でも生えているみたいに。

嬉しい

一緒にいるとそう思うんだ。
大切にしたいって。

なのに...

なんで私は気づかなかったんだろう。

肩を並べて歩く私達のことを廊下の壁から
じっと見つめている黒い影に...