「……横田さん」


 平塚先生の声がして、あたしは視線を窓の外から先生へと移す。


 平塚先生はまぶたを重そうにして、あたしのことをじっと見ていた。


「俺、何分寝てた?」


「十分くらい…?」


「ごめん、待たせてしまったね。…んで、この手は?」


 平塚先生が、握ったあたしの手を見せる。


「じ、自分で握ったの覚えてないんですか!?」


「あ、俺がやったの?ごめん」


 あたしはひどく照れて焦っているのに、平塚先生は何食わぬ顔をしてすぐにそっぽを向いた。