蒼依にぎゅっと抱きつく。


 この一年間、特にニ学期の初めからは、特に蒼依にお世話になった。


 自分の勉強でも忙しいのに、あたしの勉強にも付き合ってくれたし、平塚先生のことでもよくお世話になったから。


 たった一人の親友に、あたしはただただ感謝の気持ちでいっぱいになる。


 蒼依と校舎前でふざけていると、校門の近くで女子の黄色い声が聞こえた。


 耳を刺すような高い声に、あたしと蒼依は何事だと、その声のする方向を見る。


「……紅音!」


 蒼依はあたしの背中を叩く。


「早く、行ってきなよ!」