階段を上がり、あたしは平塚先生が住む部屋の前に立つ。


 走ってきたせいで、息は上がりきっているし、緊張してきたせいで胸が苦しく。下手したら過呼吸になってしまうのではないかと不安になった。


「……っ」


 何度もインターホンを押そうとしてはためらう。


 やだなぁ、ここに来て怖じ気付くなんて。


 だんだん頭の中が、真っ白になって何も考えられなくなる。


 きっと、緊張のせい。