ちょうどそこは、あたしの通う高校から徒歩で七、八分ほどで着く場所。あたしの通学路から見える、少し新しい賃貸住宅だ。


 ここからは少し遠いけれど、走れば十分くらいで着くはず。


 それに、平塚先生は四十分前に学校を出たし、このままどこかに出かけていなければ、きっと平塚先生は部屋にいるはず…!


 無我夢中になって、あたしは道を駆ける。


 歩道を歩くおじいちゃんや、数名で群がる中学生の間を突っ切り、あたしは街の中を走る。


 こんな時にローファーを履いてくるんじゃなかった、なんて少し後悔をする。