「十日間の講習、お疲れ様」


 化学の問題プリントの束を全て解き終えた時、隣の席に座っている平塚先生は、あたしに言った。


 問題プリントは、ところどころバツ印がついてはいるものの、見事全部埋めることが出来た。


「終わったぁ……」


 あたしは、理科室のテーブルの上に突っ伏して、ふぅと一息をついた。


 なんだかんだで、十日なんてあっという間だ。


 平塚先生から倒れてから、あたしは平塚先生がまた体調を崩さないか、ずっと気にかけていた。


 けれど、それはあたしの杞憂だったようで、平塚先生は何ともないような顔をして授業を続けてくれた。