ウソツキセンセイ

 バクバクと、心臓の音が鳴って止まない。


 止まれ、と願うと、むしろもっと早くなっていく気がした。


 それなのに、この落ち着かない体勢が少し心地よくて、あたしはその矛盾した感情にますます戸惑いを覚える。


 平塚先生のことを思えば思うほど、その矛盾した感情に埋もれてしまっているあたしも、きっと頭がおかしいのかもしれない。


 ……いっそすべて、夏のせいにしてしまおう。