平塚先生は、一向に起きる気配を見せない。よほど、昨日は眠れなかったんだろう。


「……う…っ…」


 たまに、苦しそうなうなり声も上げる。額からは汗がにじみ出て、とても暑苦しそう。


 あたしは保健室の棚を物色して、布のようなものを探した。


 幸いにも、手の届きやすい位置に真っ白な布があり、それを蛇口の水で濡らして絞る。


 平塚先生を起こさないように、そっと額や首すじを布で拭く。すると、平塚先生はすっと安心したような表情で寝息を立てた。