「まったく、いい歳をして何も知らない子に八つ当たりするなんて……」


 木製のベンチに、あたしと平塚先生は腰を掛けた。


 ひんやりとした冷たい感覚が、少しだけあたしの心を落ち着かせた。


「大丈夫?横田さん」


「……はい、なんとか」


「あはは、どうして泣くの。あんな人、気にしなくていいのに」


 あたしの目からこぼれ落ちる涙を、平塚先生は指ですくう。