だからあたしはサボるわけにはいかなかった。


 クーラーが少しずつきいてきて、あたしもそれほど暑さを気にしなくなった頃に授業は終わった。


「お疲れ、横田さん」


 授業は午前の九時からの二時間。今日は意外とこの二時間が早く終わった気がする。


「横田さんは夏休み予定ないの?」


 理科室の大きな黒板を消しながら、平塚先生はあたしに聞いた。


「特にないです」


「まぁ受験生だもんね。遊んではいられないよね」


「そうですね…」