「うわっ……」


 手にした紙を見て、あたし─横田紅音はうめいた。


 手に持っているのは、模試の結果表。いわゆる成績表というやつ。


 左から順に、60、42、55、66、39……。五教科で70点を上回ったものが一つもないことに、あたしは自分自身に失望した。


「わーお、紅音やらかしてるね〜」


 あたしの成績表を、後ろの席からこっそり覗いて見ていたのは、中学の頃からの大親友である蒼依。


 そういう蒼依はどうなんだよ、とあたしも蒼依の成績表を覗く。……覗かなければ良かった、と思うほど点数が高く、情けない自分にさらに失望した。