【完】恋する話。

「あー、川上 美咲ちゃんかぁ」

落ち着いた私の話を聞いて、言う悠里。
「まぁ、可愛いからモテモテだよ。それと…上坂と幼馴染ってヤツって聞いたことあるよ?」

「そっか。でも、上坂君はきっと美咲ちゃんのこと、好きだよね。」

視線は、下へとさがり、はぁ、と溜息を吐く私。

「もう、溜息吐かないの!まだわかんないんだからね?」にっと笑う悠里。

本当に悠里がいてくれて良かったよ。

ありがとね、悠里。

「よし、寝よっか。」「うん!」

布団に入る前にお茶を少し飲んだけど、上坂君を想い出すと喉の奥の方がキュッと苦しくなった。

淡い淡い恋心って、こんなにも簡単に散ってしまうんだな。

「おやすみ。」

布団に入ると全部が頭の中に鮮明に蘇ってきてひと粒、ポロリと涙がこぼれた。

〜〜

「鳴海、おはよう。」

朝食を食べようと食堂へ行くとさっそく上坂君に挨拶された。

「お、はよう。」ふいっと目をそらしながら私はいう。

すると、そこに

「おはよ、蓮。」

美咲ちゃんがやってきた。

香水かな?シャンプーかな?いい匂いもする。

目線は私にうつり、美咲ちゃんは「あなたはーーー。」と言う。

「あ、鳴海桜香…です。」

「あなたが桜香ちゃん!
私は川上美咲です。」ニコッと完璧な笑顔で笑う美咲ちゃん。

ほんとにかわいい。美人すぎて、私、1人だけ場違いなんじゃ…。

ぱっちりとした目を私に向ける美咲ちゃん。

「あ、蓮、昨日はありがとう。
今日も会おうよ。」

意地悪っぽく笑う美咲ちゃん。

「美咲、昨日もあっただろう?
家も隣だし。」苦笑する上坂君。

ほんとのカップルみたいで胸が痛い。

私は片想い中の女の子なんだよ?

こんなのたえれないよーーーーー。

「うぉっ!蓮!お前のハンバーグ、俺よりでけぇじゃん!交換しよーぜ。」

急に飛び出してきた、横井君。

「は?嫌だよ。俺もハンバーグ好きだし。」そんな会話をやり取りしてるうちに美咲ちゃんは「じゃあね。」と言って友達のところへ行く。

なんで、横井君はこんなグッドタイミングで来てくれたのかなーーーー?