【完】恋する話。

そこに現れたのは。

桐谷 春彦くん。

「は、はるひこ、くん…。」

久々に見た。

チャラそうな髪の毛は明るさを増していて、太陽に反射してキラキラしてた。

「はなせよ。」

ジリリ、とはるひこ君がせまる。

「ごめん、そういうんじゃないんだ。」

「そんなん聞いてられっかよ。」

ツンっととがった瞳が立花君を睨む。

どく、どく…。

変な雰囲気で。

生ぬるい風がひゅう、と流れた。

「ごめんね、鳴海ちゃん。」

謝らなくて、いいのに…。

私は大きく首をふって、

「だ、大丈夫だよ!」

と笑う。

「行こ、桜花。」

久々に握られた手はあつかった。

〜〜

「はぁ、久々だなー。」

屋上近くの階段に座り、喋る。

ひんやりとした床が気持ちいい。

はるひこ君の髪はふわふわとしてて、綺麗だった。

「別れた、って本当?」

切なそうな瞳でみつめられて、

コクリとうなづく。

「そっか。」

「わ、わかんない、の…っ。なんでなのか…。グスッ…」

ポタポタと床を濡らす涙。

はるひこ君は抱きしめたりせずに、優しく背中をさすってくれた。

「でも、まだ好きなんだろ?」

コクコク、とうなづく。

ぎゅううっとスカートの裾を握る。

その手をはるひこ君が優しくつつんだ。

柔らかく清く。

あたたかかった。

涙がこぼれる。

だめ、はるひこ君にはまってしまう。

「もう大丈夫。ありがとう。」

すうっと息を吸う。

「俺、好きな子いるからな。諦めてるけど。」

驚いて振り向くと、はるひこ君はニッと笑ってる。

そうなんだ。ふふ。

誰だろね。

私たちは階段から離れた。