学校、行きたくない。

やだ。

家を出て、深呼吸。

昔、見た桜は跡形もなく寂しげに何もなかった。

あの日。出会ったんだ。

君と。

一緒に遅刻したんだよね。

あぁ、懐かしい。

あの頃は何にも分かってなかった。

あのままが良かった。

涙が溢れそうになって、走る。

「鳴海ちゃん…!」

振り返る。

立花くん。

「一緒に行こう。」

透明で透き通るような、彼の微笑みはわたしを救ってくれた。

〜〜

「別れたらしいよ。」「どっちから?」

早速、噂に。

「桜香、大丈夫?」

悠里が私の頭を撫でてくれる。

「ううん、大丈夫じゃな、い。」

「なんもないから、別に!」

大きい声。

蓮君…??

蓮君は叫んだ。

「噂とかめんどいからさ、なんかあるんだったら俺んとこ直接来いよ。」

その声は隣のクラスくらいまでにも聞こえてて。

好きだ。

無理だよ、別れるなんて…。

私は立ち上がって走り、素早く教室から離れる。




「うぅっく…ふぅ…っ」

「鳴海ちゃ、ん。」

「立花くん、ごめん、1人にさせーーーーーー ギュウっ!

……っ!?

「好きです。鳴海桜香さんが好きです。」

どくん、どくん。

立花くんの鼓動。

「無理、だよ…っ!!」

「無理でいいから!俺のものになってよ…?」

悲しげな声。

「まだっ、好きなの…!」

涙がこぼれて、立花くんの服を濡らす。

「知ってるよ。それでもいいから。」

でもーーーっ。

「おい、困ってんだろ。」

声が、した。