「ごめん、ね。少し考えさせて?」

『うん、たーくさん考えてね。しんどい時は深呼吸すること、それと。俺に電話すること!』

「うん…!ありがとう。」



まだ、震えてる。

窓からはいる冷たいとがった風が私の頬をなでる。

涙はもう乾いてた。

〜〜

冬休みもあけ、新学期。

学校に行ってからすぐ、女の子3人が私を呼んだ。

レイナちゃん達とは違う子たち。

「あんたさぁ、どういうつもり?」

「え…?」

「蓮さー、美咲の彼氏なのに略奪しやがってさ?」

どくん。

前と、一緒だ…。

「略奪なんてしてません…。」

どうしたらいいんだろう。

ジリジリと迫ってくる、3人。

後ろは階段だ。

落ちないようにしなきゃ。

「それにさー、立花の元カノなんだけど?この子。とらないでくれるかな?」

左側にいる子は目を伏せた。

「け、ど…」

「男たらし、なんだね?」

「違いまっ…」

トン。

左の子が私の肩を軽く、おした。

え…?

足が後ろへいき、階段を踏み外す。

一瞬、女の子たちの青ざめた顔が見えて、そのまま後ろへいく。

スローモーションみたいになって…

そこに

「鳴海ちゃ…!」

と声がした。

どさぁっ。

柔らかい。

肩が痛い。

ゆっくりおきあがると、

「立花くん!?」

立花くんは平気そうに微笑む。

けど、立ち上がる時に顔を歪ませた。

「なぁ、ハルカちゃん。べつに君、元カノでもなんでもないよね?この子まで巻き込むな。」

よく聞くと、 ハルカって子が立花くんに片想いをしてたらしい。

3人の子は猛スピードで私たちの横を通りすぎた。

「ご、ごめんな、さい…」

「いーっていーって!」

鮮やかに笑う立花くん。

「どうしよ…っ。」

涙がこぼれる。

立花くんは慣れなさそうに袖で涙をぬぐう。

「こんなのすぐなおるよ。それより、鳴海ちゃんの方が重傷だ。心も体も。」

優しい。優しすぎるよ。

「俺、言うからな。ぜんぶ、蓮に。」

「だ、だめ!それだけは!」

私がとめると、せつなさそうに苦しそうに立花くんは笑って、

「好きな人が、大切な人が、苦しい想いをしてんの見てられっかよ。」

と言ったーーー。

〜〜

まだ。信じたくない。

だって、わかんない。

携帯を何度見ても、文字は変わらない。

ラインには。

《別れよう。》

の一言。

こうなるのが一番やだなのに。

なんで?なんで…。

私は自分の部屋で泣き崩れた。