【完】恋する話。

「急に消えるから、びっくりした…」

本当に心配してくれてたみたいだ。

「ご、ごめんなさいっ」

さっきまで我慢してた涙がポロポロとこぼれてくる。

「な、泣かないでよ。大丈夫だから。」

あったかい大きな手が私の頭を撫でる。

「ははっ、桜香の髪、サラサラだ。」

うん。それだけは自慢だもん。

いつしか、私も笑ってた。

蓮君パワーってすごいなぁ。ふふ。

「なんか、グッズ屋さん見ようよ。」

そう言って、蓮君は手を差し出す。

また同じようにその手につかまる。

さっきより、深く握った。



「これかわいいっ」

私が指さしたのは、ハートが半分に別れてて、それぞれ2つのハートをペンギンが持ってるだった。

カップルがするようなやつ。おそろ。

「お揃いか。ふはっ、いいね。」

ニコニコと笑う蓮君。

「お揃いってカップルだもんね。」

蓮君はちょっぴり意地悪な笑みを浮かべる。

「かっ、買ってくる!蓮君も買うんだよ!」

慌ててレジへ並ぼうとすると、

「記念に俺が買ってあげる。」

と私の頭を撫でて言う。

ドキンっ。

「だ、だめ!けっこう高いんだからっ」

奪い取ろうとすると、

フッと顔が近づいてきてーーー。

いつの間にか私の体は緩んでたみたいでおそろいのストラップからは手が離れてた。

び、びっくりした…。

キス、されるかと思った。

まだ心臓、バクバクだ。

「キスすると思った?」クスッと笑う蓮君。

「い、意地悪だよっ」

蓮君はスタスタとレジまで歩いて、ストラップを買ってくれた。

「ごめんね。…ありがとう。」

「どういたしまして。」

いろんな顔をする蓮君。

優しいとき、怒るとき、いたずらをするとき、全部全部。

私のものだから、嬉しい。


お店をでて、そろそろ帰る頃。

最後に水族館専用のプリクラを撮って、水族館を出た。




「はぁー、楽しかった!」

トコトコ。帰り道。

こうやって、一緒に帰るのは何回目だろう。

「うん、初デート大成功だね。」

ハッとして顔をあげる。

蓮君のほっぺはちょっぴりピンク色だった。

蓮君も。初デートって分かってたんだ。

意識してくれてたんだ。

「うん、大大大成功だよっ!」

パァッと笑ってみせると蓮君も一緒に笑った。


家に着く。

「送ってくれてありがとう!」

「うん、じゃ、またな。」

そう言って蓮君が帰ろうとしたその時。

「あら、桜香?」

ん???

えっえっえっ。

「お母さんっ!?」