【完】恋する話。

「一緒に帰ろう。」と誘えないまま放課後になってしまった。

とりあえず、靴箱で、まちぶせ。

確か、委員会の仕事があるって、横井君言ってたなぁ。

待っとこう。

カチ、カチ、…

時計の針の音と吹奏楽の音が聞こえる。

あれから30分かぁ。

帰ろうかな。

そのとき。

「あははっ、もう、蓮ってば!」

可愛い声。美咲ちゃんだ。

蓮…って言ったよね?

どくん、どくん、どくん。

おそるおそる声の方向をのぞく。

「…っ。」

美咲ちゃんと蓮君は楽しそうに喋りながら靴を履き替えていた。

やっぱり美咲ちゃんはかわいくって、勝てない、そうおもった。

逃げたいのに足がすくむ。

どうしよう。

カタン。音がして顔をあげると、

「あれっ?桜香ちゃん?」

美咲ちゃんに気付かれた。

「誰か待ってるの?」

「あ…えと…」

少し意地悪っぽい笑みを浮かべる美咲ちゃん。

「蓮、行こう!じゃあね、桜香ちゃん」

いかないでって言わなきゃ。

「桜香。」

大好きな人がわたしの名前を呼んだ。

「いろいろ、ハッキリしろよ。」

ちょっと怒った表情で彼はそういった。

あぁ、もう終わりなんだな。

そう思ったとき、

グイッと手を引かれそのまま校舎をでていく。

え?蓮君??


校舎を出て少ししたところでピタリととまる蓮君。

「蓮君…。ごめんなさい。」

私は喋る。

蓮君がこっちを向いて、私の顔を見る。

「立花君のこと、好きじゃないよ。ただ友達として助けてあげたいだけなの。好きなのはーーー ギュウ…っ

引き寄せられ、大きな体に包まれる。

うん、この匂い、好きだよ。

ふわふわの柔らかな髪の毛も。

いろんな表情を見せてくれる綺麗な顔も、綺麗な瞳も。

全部、全部。

蓮君じゃなきゃ、やなの。

「お子ちゃまみたいなことしてごめんなさい。」

蓮君は言う。

ちゃんと謝ってくれるところも好き。

「いいよ。私もさっき、妬いたから。」

そうしたら、抱きしめる蓮君の腕がピクと動いた。

「嬉しいです…。」

蓮君が微笑む。

ふふふ。かわいい。

私は蓮君の髪を撫でる。

「桜香サン?そろそろ行きますか。」

ハッッッ!

ここは、道路だよ〜!!!

チラチラこっちを見る人たち。

「うわぁぁん、行こう蓮君!!」

恥ずかしい。

でも、よかった。

仲直りできた。

「あ、さっき抱きしめられて言えなかったけど、私が好きなのは蓮君です!」

私が笑っていうと、優しい柔らかな笑顔を私に見せて、

「知ってますよ。」

と言った。