【完】恋する話。

「ねぇ、鳴海さんの好きな人って誰なわけ?」

ここはロビー。あんまり人が来ないところ。

いま、ピンチです。

女子3人組にかこまれて、やばい。

「蓮?横井くん?はるひこ?」ジロリと女の子は私を見る。

こんなのって漫画だけの話だと思ってたよぅ。

「す、好きな人は、いえません!」
私がいうと、

「はぁ?おとことよく喋るくせに!」
「そうだよ!はるひこ返せよ!」

3人組はかわいい子たちで、たぶんはるひこ君の元カノとかだろうか…。

それならかなり、やばい状態だ。

「ちょっとかわいい顔してるからってさぁ、調子乗んないでくれる?」
「はるひこがかわいそうじゃん!!」
強い口調でせめたてられる。

「ちょ、調子なんかのってません!」

「はぁ!?口答えするき!?」

真ん中の子が手をあげるのが見えた瞬間、私はしゃがみこむ。

「やっ…。」パシンッ

「……っ!!」左の頬にピリリとした痛みを感じて目をつむる。

「ちょ、レイナ!?叩くのはやりすぎなんじゃ…!」
「いいのよ!この子がアホだから…。」
「早くいこっ」
3人組はタタタッとかけていく。

足音はしだいに小さくなり、消えていった。

「イタタ…。」ピリピリとほっぺが痛くて、ほっぺを抑えながら立ち上がる。


部屋に戻ると、悠里はおどろき頬に手当てをしてくれて、話を聞いてくれた。

「何かあったら絶対に言うんだよ!?」悠里ってば、必死…ふふ。

ありがとね、悠里。大好き。

「上坂とか、桐谷くんには言わなくていいの?」

「うん、きっと、すごく気にしちゃうからね…。」私は目を伏せて、言う。

「そっか。じゃ、おやすみ。」

「おやすみなさい。」