振り向いたらあなたが~マクレーン家の結婚~


マリアンヌは自室でザメザメと泣いた。サリーが心配そうにしていたが、部屋の鍵はかけて、ほっておいてもらった。マリアンヌと散々泣いてホトホト疲れた。
自分でもどうしてこんなことで涙を流しているのか分からなかった。コスナー氏が結婚する気がないときっぱり言ったことが相当堪えているようだった。
マリアンヌはほとんどコスナー氏を好きになりかけていた。恋していたし、愛し始めていた。
コスナー氏と一緒にいると、満たされ、自分が正しいことをしていると自信をもらえた。でも今日はコスナー氏に打ちのめされた。
これからも長くコスナー氏といられると思っていたわけではないが、夢見心地から突然、現実に落とされたようだった。
確かに結婚せず、ずっと友人または恋人関係は続けられるかもしれないが、今のマリアンヌにはそんなことをする気はホトホトなかった。コスナー氏には、もっとしっかりとしたものが欲しかった。それに、マリアンヌは結婚したかったし、するつもりだった。父と母みたいに。
それに子供を産んで、自分の家族が欲しかった。誰かと愛し愛される関係が欲しかった。でもそれは、コスナー氏とは無理みたい。今はもうコスナー氏の顔も見たくなかった。
あんな冷たい男のどこが良かったんだろう?自分のことを愛する気もない人なんて。その時、楽しめたら良かったんだわ。
マリアンヌはハンカチで目をふき、すくっと立ち上がった。そうよ。あんな人、こっちから願い下げ。
私は自分が幸せになれる人と一緒にいるべきよ。きっとスコットランドにそんな男性がいるわ。そう思うと、元気づけられ、マリアンヌの涙も枯れていった。
マリアンヌは気持ちが落ち着いてきたら、俄然元気が出て、紅茶を飲みに、食堂へ降りていった。