それから数日後、マリアンヌのもとに2、3通の家庭教師をしてほしいという手紙が届いた。
そのうちの一通のクレモンセヌ家に面談に行こうと思っていた。クレモンセヌ家は貴族だが、堅苦しくなく、父親同士も知り合いなので、そんなに緊張せずにやっていけそうだと思った。
面談当日、ロンドンのメイフェア通りにあるクレモンセヌ家の屋敷にマリアンヌはいた。
クレモンセヌ家のお嬢さまは、一人娘でかなりきちんとした可愛い子だった。
将来はさぞや美人になるだろう。
母親は、40歳近くで、しわが少しあったが、まだまだ美貌が残っている美人は人だった。
マリアンヌはいくつかの質問に答えた。面談は良い雰囲気の中で、終わった。翌日、マリアンヌが自室で読者をしていると、サリーがお盆に手紙を持ってやってきた。
封を開けてみると、クレモンセヌ家からでぜひ娘の家庭教師をしてほしい、ということだった。サリーは、もう1通の手紙を持っていた。
それを見ると、この間の舞踏会で出会ったケヴィン・コスナー氏からだった。「この間は会えて嬉しかった。ぜひ友好を温めたい。
よければ、我が家へ来訪して、お茶の時間を楽しんでほしい」とのことだった。マリアンヌはその手紙を見て、少し迷った。コスナー氏の誘いはうれしかった。しかし、マリアンヌは未婚だ。
未婚の女性は、恋人でもない婚約者でもない男性の家をひょいひょいと訪ねていくことは、あまり礼儀に適ったことではなかった。もちろん、付き添いの女性を連れていけばいいのだが、やはり気になる。
友好を温めたいとは、どういうことだろう?言外の意味もある?まさか!そんなことないわ。
ただ本当に友情を感じているだけよ。実際、私もコスナー氏とはもっと仲良くなりたいと思っているんだし。このまま別れるなんて、いやよ。
そうよ、私たちの間には、男女の垣根を超えた純粋な友情があるのよ。