ふと思い出す。 ここに来た目的は…… 「はぁ。」 絶対に怒られる。 こうちゃん、起こると怖いんだよなぁ。 くじいた左足を庇うように立ち上がり 袴についた砂をパタパタとはたく。 空に漂う灰色の雲がのしかかるように 体が重くなる。 「何してるんですかね?」 ニコニコ野郎がまた通せんぼするように 立ちふさがる。 副長という男は何もせずただ立っている だけのように見える。 実際は稜之助と総司という男を 見据え、右手は軽く刀にかけられ 切り殺す準備が整っていた。