一通りお店を周り、足が疲れてきた頃に「そろそろ帰ろうか」とどちらともなく言い出して帰りの電車に乗った。
この一日が終わってしまうのは名残惜しい。
楽しかった分、尚更。
けれど、駅はどんどん近づいていく。
アナウンスの声が聞こえて、ホームに降りて、改札を出て。
自然と二人の足が止まる。
私と先輩は、駅から逆方向。
「あの、先輩、」
「水野、」
二人同時に声を出した。
何を言うかも考えていないのに、思わず先輩を呼んでいた。
「先輩、先どうぞ。」
「いや、水野こそ。」
「じゃあ、」
一瞬、迷って素直な気持ちをそのまま口にだした。
「まだ、帰りたくないです。」
先輩はふっと優しく笑う。
「奇遇だね。同じこと考えてた。近くに公園あるんだけど、行かない?」
「行きたいです。」
そう答えると先輩も頷き、また並んで歩き出した。

