「えっと…よし、これで接続完了」

パソコンにスマホを繋ぎ、カメラの映像をパソコンに映し出す。

「あとどれくらいで着くの?」

キーボードに手を置いたまま、先生が問いかける。

「もうそろそろ着くと思いますけど…」

手塚姉妹が寮の部屋を出てからおよそ一時間。予測が正しければ、そろそろ着くはずだ。

「…あっ」

画面を見ていた先生が小さく声を上げる。

「どないしたんですか、先生?」
「着いたみたいだよ、二人とも」

パソコンの画面には、奥の方にそれぞれ聖都と直都の姿が見えていた。

「音も出るんだよね、これ?」
「はい」

スピーカーをオンにする。先生と私、二人で悪いことをしているような気分で、テンションが上がった。

「…ホンマに大丈夫なんですか?」

少し不安になって、聞いてみる。

「全く…心配性だな、津田さんは。僕は教師だよ? 何かあったら、責任は取れるから」

少しはにかんで、先生は答える。そして、私の頭に手を置いた。

「…昔何があったのか詳しくは知らないけど、津田さんの小説を見てある程度は分かった。…心配しなくていいよ。僕は見捨てたりしないから、津田さんのこと」

先ほど感じた狭くて甘酸っぱいものが、また体をめぐった。そして今度は、その正体を取り逃したりはしなかった。

…好き。その二文字が、はっきりと浮かんできた。

先生としてじゃない。人間として…と言えばいいのだろうか? 何にせよ、私は先生に恋している。それは明白だった。