「…なるほどね…」

そして、私は本当に話してしまった。普通なら誰かに話すことでもないし、まして先生になんて絶対に話すことはないなんて思っていたけど、私が普通じゃなかったのか、それとも尾張先生だからそうさせたのか、とにかく私は、尾張先生に全てを話したのだった。

「…よかったら、そのカメラの映像、僕にも見せてくれない?」
「えっ? …でもウチがおるの、女子寮ですよ…?」
「パソコンに繋げてるだけでしょ? スマホを持ってきてくれたらいいじゃん」

急いで部屋に戻り、コードからスマホを引っこ抜き、寮の外に出る。

「えっと…こっちが映奈のカメラで、こっちが若奈のカメラです」

スマホをまじまじと見つめる尾張先生。その顔は、思ったよりも私の顔のすぐ傍にあった。

「…やっぱりちょっと見づらいかな…そうだ、来て」

顔を上げて歩き出す先生に、私は問いかける。

「えっ…どこ行くんですか?」
「第一情報室。…ほら、技術の時間にパソコン使って授業することあるでしょ? あの部屋」

そして、先生は再び私の傍に来ると。

「大丈夫だって。…というか、僕もこの後の展開がどうなるか、知りたいから。行こう」

私の手を握り、歩き出した。

「あっ…」

これが、いわゆる「手を繋ぐ」ということの初めての経験だった。そして、心の中に、何とも言えないような、狭くて甘酸っぱい感情が芽生えた瞬間でもあった。

そして…この感情こそが、人を好きになるという感情であることに気づくまで、そう時間はかからなかった。