だけど、今は二人の応援に徹する。いきなり自分でやるよりも、まずは見学からだ。

「二人とも、ちゃんと言うた?」
「うん」
「バッチリだよ」

その日の夜、私達は「作戦会議」をしていた。

「明日は最初は髪形を入れ替えて、途中で髪形を元に戻して」
「途中って…いつぐらい?」
「せやな…だいたいお昼過ぎでええんちゃう? あんまり遅くてもアレやし」
「オッケー」
「それと…これ」

私はカバンから、二台の小型カメラを取り出す。ポケットにでも忍ばせられそうなサイズだ。

「ん?」
「カメラ?」
「明日、持って行っといて。ウチにアドバイスできることがあったら、その時に応じてLINEするから」
「いいけど…これ、どこから持ってきたの?」
「アタシ達、怒られたりしないよね?」
「大丈夫やって。写真部から借りてん。ウチらの部活がやる劇で、小道具として必要になったって」

もちろん、嘘である。小型カメラなんて、劇中では一度も使わない。

「じゃあ…二人とも、頑張ってな。ウチ、応援しとるから」
「うん。ありがとね、詩音」
「アタシ達の恋に協力してくれて。…さてと、協力してくれたからには、絶対成功させないと! 詩音の励みにもなるだろうし。ね、映奈?」
「うん」
「ウチの励み? どういうこと?」

すると、映奈は笑顔で言った。

「だって詩音、今まで恋とかあんまりできなかったんでしょ? だから、その恐怖心みたいなのをなくしてあげられるかもって」
「…おおきにな、二人とも」

ここまで私のことを知ってくれている友達も、そういないだろう。その日の夢は、幸せな夢だった。