…その時、偶然か必然か、気づいてしまった。

だからだ。

だから私は、中学の頃あんなことになっていたのだ。

こうやって考えてばかりいて、自分から輪に入ろうとしなかった。自分から輪を作ろうとは考えたくせに、他人の輪に入るのを嫌っていた。

だから私は、あんなに孤立していた。三年間の苦悩の結論は、呆れるほどに簡単だった。

「…」

他人の輪に入るのは、本当は嫌だった。その輪の中心人物が、自分では到底歯が立たない、上位の人物に見えて。

でも、行かなきゃいけない。

イスの音が、やけに耳障りな不協和音を奏でる。腰が重い。やっと持ち上がったかと思えば、次は足が重さを増す特殊技術を身につける。

「…」

目の前では、クラスメート達が和気あいあいと話している。簡単なことじゃないか、と自分自身に言い聞かせる。簡単なことじゃないか。皆のいる場所まで歩いて、話に入るだけ。普通の人なら誰でもこなせる、至ってシンプルな作業じゃないか。

「…」

だけどそれを三年間経験してこなかった私は、そのやり方を考え込んでしまった。

恐らく普通の人なら、やり方なんて考えなくても、身についているから自然にできるのだろう。そんな中、私だけが、そのやり方というものを考えてしまい、泥沼に片足を突っ込んでいた。

それでもやっとの思いで、皆の元へたどり着いた時だった。

「キーン、コーン、カーン、コーン」

無情なチャイムが、教室にこだました。輪は崩れ、銘々が自分の席へと戻って行った。私は一足遅れて、さっきまで話題の中心人物がいた所に突っ立っていた。