「…………」
「ビックリさせたちゃった?あっ、コーヒー冷めちゃうから飲んでね」
そう言って、母親は苦しそうに眠っているバカ女のおでこに冷たいタオルをのせた。
「この子ね、陸くんにキスしてわかったみたい」
「……は」
「アジサイを見に行ったこの日、愛理が帰ってきたらね『ママ~、すっごくドキドキして胸がおかしいの』ってあたしに言ったの。陸くん、意味がわかる?」
「なんのことだか…さっぱり」
「キスは好きな人にするモノだって、陸くんにキスをして愛理は気づいたんだと思う。その後『もう他の子とは絶対にしない!』って言ったのよ」


