紫、水色、ピンク色…色採りどりのアジサイの花の前でひよこ組全員で撮った1枚。
カメラのレンズを無視してブスッとした顔をしている俺の隣で、バカ女が嬉しそうに笑ってる。
この日は俺にとって忘れられない1日で──・・・
いつもにも増して、1人でいたかった日だった。
なのに、そんな空気を全然読めないコイツは俺にズカズカと近づいてきたっけ。
「この写真を持って帰る前から…あなたのことを毎日のように愛理から聞かされていたわ。陸くんはカッコいいとか、ホントはとっても優しいとか…。それで いつだったか 陸くんのことが好きなんだけど、話しかけても無視されちゃうって愛理があたしに相談してきたことがあって…」
母親になに喋ってんだよ。
おしゃべりなヤツ。
「あっ、そうだ!この写真を撮った日、愛理が陸くんにキスしなかった?」
「え」
「フフッ。ゴメンね。必殺ワザのキスはあたしが愛理に教えてたモノなの。陸くんに勝てるし、愛理のことを好きになっちゃうよって!」


