柔らかくて温かいママの背中に顔を埋めてみる。


それでも胸の不安は消えてくれない。



「陸くんと…なんかあった?」


「もともとなにもないよ。陸はあたしに全然興味なんてないから。けど、今日見ちゃったんだ。陸に彼女がいたみたい…」



あたしは5才の頃から、陸だけに夢中。


その頃から、ママは1番の相談相手であり…よき理解者で。


だから、今みたいに陸のことは全部ママに話していた。


「陸ね…その人を見てすっごくいい顔をして笑ってた。今まで陸に彼女がいるのもわからないなんて…あたしもかなり鈍いよね?」


陸はめちゃめちゃカッコいいもん。


彼女がいても…全然不思議じゃない。


だけど、胸が壊れそうなくらい痛くって──・・・


彼女を見て笑う陸の顔を思い出すだけで、鼻の奥がツーンとして…また涙が姿を現そうとした。