帰り間際、まるで俺に言い聞かすかのように、それだけ言い残して愛理の父親は帰って行った。


それから後も、何度も父親に言われた言葉が頭の中でリピートした。


その度に頭の中に 出てきた…アイツの顔。



「どんなに離れたって…そう簡単に気持ちまで離れるわけねぇじゃんか」



それからケータイを手に取って何度もボタンを押そうとしたけど、どうしても押せなかった。



「……愛理」



自分じゃないみたいに震える指先と声。



結局、アイツに連絡する勇気がないまま俺は──・・・