キミに…Kiss


急に俺の方を向き、愛理が消えそうな声でそうもらした。


笑ってると思ったら、こんなふうに泣いてみたり…とにかく忙しいヤツ。


俺たちのことと、この映画をまさか重ねてんのか?


ホント…かなりのアホ。


妄想も激しいと思ってたけど、被害妄想までひでぇのかよ?



「俺にはお前が泣いてる意味がわかんねぇんだけど?」


「だって……」



お前の“だって”の続きは、聞かなくても想像がつく。


俺は黙って、大きな瞳の眼尻に現われた涙の粒を親指で拭ってやった。


感情移入すんのはいいけどさぁ。


“俺たちは違うだろ?”…って。


そんな俺の気持ちが愛理に伝わったか…それはわかんねぇけど、泣いてたヤツがまた口をニンマリさせて笑った。