「……え」
さっきまでおとなしかったのが嘘みたいに、瞳を輝かせて俺の顔をマジマジと見てくる。
「ねぇ、あたしの名前…はじめて呼んでくれたよね?」
しっかり俺の両腕掴み、そう何度も聞いてきくる。
つーか、うぜぇよ。
けど、とっさにコイツの名前を呼んだかもしんねぇ。
言ったことが取り消せるわけでもないのに口元を手で押さえていると、嬉しくて仕方がないと言ったような…コイツのニヤケ顔が目の前にあった。
「陸…どうしよう。めちゃ嬉しいんだけど」
「ただ、名前呼んだだけだし…」
「けど、はじめてだったし?」
「人のマネして、話してんじゃねぇよ!」


