幼稚園の頃につけられたあだなを久しぶりに耳にした。
───キス魔の愛理ちゃん。
それを聞いた途端、ものすごく後悔した。
なんで、あんなことをしてたんだろう…って。
裕太くんは当時ひよこ組に中でも1番って言ってもいいくらい、あたしの髪の毛を引っ張ったり、ちょっかいを出してきた男の子だった。
「今日、オレ、ここでテニスの練習試合あるんだ。それにしても、こんなところで愛理と会うなんてなぁ~。思ってもなかった」
「……あたしも。じゃあ、あたしも部活があるから行くね。それじゃ」
早く裕太くんの側から離れたかった。
「ちょっと待てよ!久し振りに会ったのに冷たくね?」
なのに、大きな手にあたしは肩を掴まれてしまう。
「あん時みたいに、オレにチュッてしろよ!」


