キミに…Kiss


ミナミの心配そうな瞳に負けて、あたしは体育館の外へ出て行った。




──────────・・・


蛇口をまわして、冷たい水でタオルを濡らして、それを瞼の上に押しあてる。


「やっぱり、今日…休めばよかったかも」


ミナミにも、迷惑かけちゃうし。


ダメじゃん、あたし。


しばらくの間、自己嫌悪に陥っていた。


「はぁ…いつまでも、ここにいる訳にもいかないし。体育館に戻んなきゃ!」


タオルの冷たさが感じられなくなった…その時だった。



「あっ!もしかして お前 愛理か…?」


「へっ!?」



目の前にミルクティー色のふわふわパーマをかけた、見馴れないブルーのジャージを着ている男の子がいた。


だれ?



「お前、ガキの頃と顔が全然変わってないじゃん!てか、ひでぇなぁ。オレのこと、覚えてねぇのか。柴崎裕太(しばさき ゆうた)だよ」



「……ゆ…うた…くん?」