「なんで俺が…」


「オレは陸のことを責めてんじゃねぇぞ。ただ……」


「ただ…なんだよ?」


「陸が気づいてない気がしただけ。今朝も愛理ちゃんに返事するお前の表情を見て感じたんだよな。陸さ…ホントは愛理ちゃんのことが気になってんだろ?」


「は?」


「とっくにチャイムは鳴ってんだぞ!早く自分の席に戻れ」


この後、担任が教室に入って来て、話はそこで終わった。


龍二がマジな顔して言ったセリフ。


今、思い返してみても かなり笑える。


絶対にありえねぇだろ?


龍二をバカにしながらも、でも自分でもなんかがおかしいって…気づいていたのかもしれない。



俺が好きなのは美華で、アイツのことなんて どうも思ってないはずなのに──・・・


龍二に『違う』って…すぐに否定できなかったんだ。